横顔と背中

2014年春M3

1.しろくろ

街の外れ 鶏小屋の 赤い扉 叩く
好きな色は ウルトラマリン
屋根の上で背伸び
街の外れ 鶏小屋の 赤い扉 叩く
月が色を取り戻しても 屋根の上で待ちぼうけ
朝に、昼に、夜に唱え 擦り切れた約束
廻る月日 指折り数え 後ろ髪も伸びた
しろとくろの花かんむり
街の外れ 鶏小屋は 光を避けた 黒
扉だけが 赤く滲んだ
朝の光 今日は曇り 広がるのは鈍色
風に揺れる 白い羽根を 海へ向かって、撒く


2.xxxxx

沈め
音もなく 消えてなくなって
見えてしまうなら 潰せ 両目とも
なくした位で泣いてしまうような
惨めな心は 潰せ 今すぐ
与えぬ誰かは 流せ 流れゆけ
探してしまうなら 縛れ 両腕を
正しい理、正しい熱量、正しい優しさ、正しい価値は
沈め 水の中 潰せ 今すぐ
縁取った赤が光る
美しい、と思い出すのは間違い
xxxxxなら
これ以上、これ以上の言葉
慰めもいたわりもなくても
ただひとつ、ただひとつで歩き出すんだ
捨ててしまえば
悲しいと、苦しいと、言うこと
振り返る、寄り添うこと、すべて
ただひとつ、ただひとつの命
明日には絶えてしまっても
手に入れられるなら
これ以上、これ以上の言葉
愚かしく 歪んでゆくままで
ただひとつ、ただひとつの命は剣となって
あの風も あの澄みゆく海も
この空も 傷つけてゆくだろう
ただひとつ、ただひとつ掴めば
明日にはなくてもいい
これ以上、これ以上の言葉
ただひとつ 求めている言葉
惨めにもすがるこの命よ
明日にはなくてもいい


3.はじまりの日

はらり 舞い降りた影を
二人眺めてる
淡い言葉を繋いだだけと
わかっていたはず
こんなにも遠くに感じる日がおとずれるなら
ああ、今すべての音を聞いて 覚えていたい
はじまりの日は静かで
消えてしまいそうで
ふわり
傾いた光の先
霞んでく世界
受け止めたその横顔
知ってはいたけど
入り組んだ道、もう進んで行けない、と
ああ、今すべて過去を壊し
なくしてしまえば
胸を動かす苦しみも
なくしてしまうんだろう
ああ、今 伸ばしかけた右手 揺れて流れた
涙、涙の跡を
追いかけるように流れた
何度も影をなぞり
確かめていても
いつか
時が同じ場所を巡り 過ぎてしまえば
夢が覚めるように きっと薄れてゆくんだろう
ああ、今 焦がれていた背中 触れず離れ
た 涙、涙の跡を
追いかけるように離れた


4.カラメルの向こう

さよなら
カラメルの苦い甘い匂いも
毎日が押し流してくれるよ
だから
タバコの煙の向こう
口紅の嘘のないところで
まっているんだ
この空がはじけて
いつか本当になるの
約束かどうかは気にしなくてもいい
ねえ、覚えていて
ねえ、わかっててくれたらいいな
さよなら、はカラメルのよう
苦いのに優しい
もし手を振り返してくれるならば
真っ白い服を着て
裸足のままですぐに迎えにゆこう
この空がはじけて
いつか本当になるの
約束かどうかは気にしなくてもいい
ねえ、覚えていて
ねえ、わかっていて
ここにいたことも、ここにあった言葉も
すべてが消えずにに残ってること